「落語の土鈴」も 1番目~3番目4番目~6番目7番目~11番目12番目~15番目16番目~20番目21番目~26番目27番目~28番目と番外の2つ29番目~32番目33番目~35番目36番目~38番目 39番目~41番目と番外の2つと紹介してきました。今月はその続きで42番目~45番目の4種類と番外の干支土鈴2つを紹介します。

今月も宜しくお付き合いをお願い致します。

落語土鈴 地獄八景亡者の戯れ

地獄八景亡者の戯れ

海老天たまこ作

上方落語の「地獄八景亡者の戯れ」を土鈴にしました。

通しで演じると1時間超である大ネタです。

三途の川渡り、賽の河原、六道の辻、閻魔の庁などおなじみの地獄の風景が次々と登場する噺ですが、土鈴にしたのはサゲの部分です。

ここに登場したのが四人の亡者、それぞれ曲者ぞろいで地獄の鬼どもを困らせる。最終手段として人呑鬼に飲み込ませたが、人呑鬼の体内でも大暴れ、苦しすぎて人呑鬼も目に涙。

人呑鬼 「こいつら腹の中で暴れやがって、もう便所で出してやろう・・・」と、便所へ駆け込んできばり始めた。

亡者は出されてはなるものかと人呑鬼の肛門の上で四人が井桁状になって、断固阻止。

人呑鬼 「ウーン、ウーン、・・・あ~ん、あ~ん・・・」、ついに閻魔さんのところへ泣きついて、

人呑鬼 「大王様、もう、このうえは、あんたを呑まなしゃあない」

閻魔 「わしを呑んでどうするのじゃ」

人呑鬼 「大王(大黄)呑んで、下してしまうのや」

大黄が下剤の一種だと知らないと「どこが面白い?」というサゲなのですが、土鈴では切羽詰ってまさに閻魔さんを呑み込もうとする涙目の鬼さん、 四人の亡者は底の鈴口で井桁状になって踏ん張っています。

2018年9月作品

落語土鈴 手水廻し

手水廻し

海老天たまこ作

上方落語の「手水廻し」を題材にした土鈴です。

ある大阪の商人、丹波の宿屋に一泊いたしましての、その翌朝という設定で噺が始まります。女中さんを呼びまして、 顔を洗おうと「ここへ手水(チョウズ)を廻してくれ」と頼んだところ、頼まれた宿屋側にはチョウズの意味が通じません。

結局、手水は長頭(チョウズ)=長い頭だろうということになり、村一番の頭の長い男を呼んでその頭を廻させた。

客は早く手水を使いたいので「早く早く」と急かす、男は「速く速く」とのリクエストに応えて頑張って長い頭を廻したので目を廻してしまった。

後日、宿屋の旦那さんは「ここへ手水を廻してくれ」の意味を確かめるために番頭さんを連れて大阪の宿に泊まりに来た。 手水を頼んで運ばれて来たのは、大きな銅(あか)の金だらいに、並々といっぱいのお湯。そして、横には、塩と房楊枝。 手水とはこれかということになりますが、何するもんや分かりません。 飲み物だろうと理解して二人でようやく金だらい一杯分を飲み干した時に女中さんがあと一人分の手水を運んできたので「後の一人前はお昼によばれます。」

土鈴は頭を廻しすぎて目を廻した長い頭の男、その背中には手水を苦労して飲もうとしている旦那さんを描き、底の鈴口は「長」という字の一部になっています。

2018年9月作品

落語土鈴 こんにゃく問答

こんにゃく問答

海老天たまこ作

上方落語の「こんにゃく問答」を題材にした土鈴です。

村の空き寺に諸国行脚の雲水の僧が問答に来たので、こんにゃく屋の六兵衛さんが大和尚に化けて問答の相手をすることとなった。

僧が何を問うても六兵衛が返事をしないので勝手に無言の行と勘違いして、身振り手振りで問答をしかける。

僧「『三尊の弥陀は』との問いには『目の下にあり』との答え。いや恐れ入りました」

六兵衛さん「しみったれ坊主め、ワシがこんにゃく屋の親爺だと知っていて、こんにゃくを300文に負けろって言うから、あかんべえをしたんだ」

六兵衛さんの背後では問答で僧が帰らなければ角塔婆で叩いて煮え湯を浴びせて追い返そうという準備をしています。

2018年9月作品

落語土鈴 片棒

片棒

海老天たまこ作

古典落語の片棒を題材にした土鈴です。

登場するのは赤螺屋吝兵衛(あかにしや・けちべえ)さんと3人の息子。ケチケチ蓄えた財産を誰に継がすかを思案し、自分が死んだときにどんな葬式をするかという問いで3人の息子を試そうとする。

長男は超豪華に、次男は超粋に、二人の答えを聞いて吝兵衛さんはあきれてショック死状態。

次は三男の順番、

(吝兵衛)「おい、もうおまえだけが頼りだ。兄貴たちの馬鹿野郎とは違うだろうな」、

(三男)「当然です。あんなのは言語道断、正気の沙汰じゃありません」……とやっと、まともなのが出てきた。

(三男)「早桶は菜漬けの樽の悪いので十分。樽には荒縄を掛けて、天秤棒で差しにないにしますが、人を頼むと金がかかりますから、あたしが片棒を担ぎます。ただ、後の片棒がいません」

(吝兵衛)「なに、心配するな。オレが出て担ぐ」

2018年12月作品

番外 亥年 干支土鈴 時うどん

R059_rakugo_udon

海老天たまこ作

亥年干支土鈴の第1弾の「こんにゃく問答」に続いて、第2段の演題は「時うどん」。

落語の中で扇子をお箸に見立てて物を食べるシーンは色々出てきます。茶漬け(京の茶漬け)、猪鍋(禁酒番屋)、 ぜんざい(ぜんざい公社)、お雑煮(正月丁稚)、サンマ(目黒の秋刀魚)、鯉の洗い(青菜)、・・・等々。 同じ箸でも演者は食べる物によって上手く演じ分けています。

中でも有名なのはうどんを食べるシーンです。イノシシのウリ坊師匠、 まるで手に持った丼からうどんを食べているかのような名演です。

2018年8月作品

番外 亥年 干支土鈴 こんにゃく問答

R058_rakugo_konnyaku

海老天たまこ作

2019年(平成31年、そして新しい年号がスタートする年)の干支は己亥(つちのとい)です。そこでイノシシの土鈴です。

そこでイノシシを噺家さんにみたてて落語を一席演じてもらいます。第1弾の演題は「こんにゃく問答」。

にわか住職になったこんにゃく屋の主人が旅僧に禅問答をしかけられ、口もきけず耳も聞こえないふりをしていると、旅僧は無言の行と勝手に解釈し、 互いのしぐさを誤解したまま問答が進み、最後はこんにゃく屋の主人が勝ってしまうというストーリー。

こんにゃくが小さいとけなされたと思った主人が、こんなに大きいと両手を広げるポーズが決まっています。

2018年8月作品


本日はここまで、お後がよろしいようで。
落語土鈴は現在45種類(鷺取り、池田の猪買い、蛸芝居、鬼の面、高津の富、猫の災難、首提灯、牛ほめ、蛇含草、死神、 猫の災難、猫の忠信、天神山、あたま山、看板のピン、馬の田楽、時うどん、蔵丁稚、寿限無、饅頭怖い、鼻ねじ、犬の目、 七度狐、始末の極意、不動坊、目薬、住吉駕籠、猿後家、いたりきたり、狸賽、動物園、天狗裁き、べかこ、ろくろ首、京の茶漬け、 くっしゃみ講釈、皿屋敷、つる、癪の合薬、代書、崇徳院、地獄八景亡者の戯れ、手水廻し、こんにゃく問答、片棒)です。お気に入りの演目は有りましたでしょうか? これからも種類を増やしていきます。「こんなのが欲しい。」、「この演目が好き!」、その他ご意見ご感想等がありましたらメールまたは掲示板への書き込みにてご連絡下さい。

落語土鈴シリーズはまだまだ続く予定です。また、新作ができましたらご案内します。

手を振るニャンコ「今月の土鈴」ボタン  TOPボタン  「都道府県別」ボタン

Copyright (C) 猫饅頭@大和の土鈴