「落語の土鈴」も 1番目~3番目4番目~6番目7番目~11番目12番目~15番目16番目~20番目21番目~26番目27番目~28番目と番外の2つ29番目~32番目と紹介してきました。今月はその続きで33番目~35番目の3種類を紹介します。

今月も宜しくお付き合いをお願い致します。

落語土鈴 べかこ

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海老天たまこ作

「大和の土鈴」ホームページ、2017年最初のページです。

2017年(平成29年)の干支は丁酉(ひのと とり・ていゆう)です。そこでニワトリの登場する落語の土鈴です。

上方落語の「べかこ」を土鈴にしました。

泥丹坊堅丸という噺家、九州に巡業に来て、あちこちのお座敷や催し物で仕事をしていたところ、佐賀のお城から姫君の気鬱(きうつ)の病いを癒すため城へ来て面白い噺をしてもらいたいと言ってきた。 早速、お城に行くと「鶏(にわとり)の間」という部屋に案内され、その中で待っていると、腰元たちがが興味津々、覗きに来た。

ちょっと覗き見して思わず吹き出し、「うふ、わたしはこのような面白い顔をした男を見たことがございません。 ちょうどまぁ、狆(ちん)が茶を吹いたような顔」、「まぁ、ホンにこれはちょうど、水桶の紐通しのような顔でございます、ちょ~どあの鼻があぐらをかいている具合が・・・」、なんて散々な言いよう。

いたずら心を出した堅丸師匠、突然「べかこ~!」と顔を突き出したから大変、「きゃぁ~!」、「べかこ、べっかぁこ~」、「きゃ~」、バタバタ、バタバタと城内は大騒ぎとなった。

「何とけしからん噺家」と、哀れ堅丸師匠は召し取られてしまった。「明朝、鶏が鳴くまで縄目を解くことはあいならん。 目の前に鶏の絵が描いてある、この鶏に鳴いてくれと頼むがよい」と、無茶なことを言われた。

堅丸が 「お前も名人の手になる鶏やろ。わしのためにひとつ ”コッカコ-”と鳴いてくれ。 どう~ぞ、頼む~!」と願うと、その祈りが通じたものか、絵の中から鶏が出て来た・・・ 

鶏はバタバタ~、バタバタ~と羽ばたきをしたかと思うと、「べかこ」

余談ですが桂南光師匠の南光襲名前の名前は桂べかこでした。この落語の題名に因んで名づけられた芸名だと言われています。

落語土鈴ではないですが新しく入手した酉年の干支土鈴はこちらをご覧ください。

落語土鈴 ろくろ首

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海老天たまこ作

上方落語の「ろくろ首」を題材にした土鈴です。

「資産家の娘で、器量もよい。そこに婿養子に行く気はないか。」と隠居さんから持ちかけられた男。 好条件のウラを問いただすと毎晩午前2時ごろになると、首が、シューッ、と伸びるという。

気味悪がり、一度は渋るが、「夜中は寝さえすれば、伸びる首を見ずにすむだろう、また断るとこんな好条件を他人に取られるのも悔しい。」と思い直し、婿入りを決意する。

やがて婚礼ということになり、その夜、男はそばで眠る娘の首が気になり、寝付くことができない。やがて隣の娘の首がスーッ。 男は、娘の首が伸びるのをはっきりと目撃してしまい、恐怖のあまり絶叫しながら屋敷を飛び出す。

男は隠居宅の戸を叩き、「首が伸びた」と叫びながら転がり込む。

「伸びるのを承知で行ったのだろう」

「まさか初日から伸びるなんて思わなかった」

「芝居ではないのだから初日も千秋楽もないだろう。もう一度お屋敷に戻りなさい。お嬢さんがおまえの帰りを、今か今かと待っている」

「怒っていないでしょうか。どんな風に待っているでしょうか」

「首を長くして待っている」

土鈴の鈴紐にもご注目を。長~く伸びた首を表現しています。

落語土鈴 京の茶漬け

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海老天たまこ作

上方落語の「京の茶漬け」を題材にした土鈴です。

京都の町では用事を済ませて帰ろうとすると「あのォ、なんにもおまへんのどすけど、ちょっとお茶漬でも」と言うたらしい。 だれもお茶漬けぐらいでは「ほならよばれます」と引き返さないし、言う方もまたあくまでお愛想で言うのだから、食べさす気はない。

ある大阪の男、何回も「ちょっとお茶漬でも」と言われるので、いっぺんこの茶漬を食べてやろうとわざわざ電車賃払って出かけてくる。 昼食前をねらって顔見知りの家に入る。あいにく主人は留守で、その嫁さんが応対に出る。色々昼食を出すようになぞをかけるが、嫁はんは動じない。 それもそのはず元々一膳分のごはんしかおひつにはないのだ。

男はしばらく亭主が帰ってくるのを待つが待ちきれず、帰ると告げると、そこまで我慢してた嫁さん、いつもの癖で「何にもおへんのどすけど、ちょっとお茶漬でも」と言ってしまう。 男はこの言葉を言わしたいためにわざわざ来たので「さよか、えらいすんまへん」とすわり直す。 嫁はんはさんざん苦心してようようあつめたご飯一膳分にたっぷりお茶をかけ、漬け物をそえて出す。男はすぐに食べてしまって、もう一杯ほしいと思うが嫁はんはお代わりをしてくれない。そこで、「ああー、こんないい茶碗、大阪へみやげに五つほど買うて帰りたい。このお茶碗は、どこでお求めになりました」と空の茶碗の底が見えるように差し出すと、嫁はんも負けずに空のおひつを突きだして、・・・

「このおひつと一緒にそこの荒物屋で買いました」


本日はここまで、お後がよろしいようで。
落語土鈴は現在35種類(鷺取り、池田の猪買い、蛸芝居、鬼の面、高津の富、猫の災難、首提灯、牛ほめ、蛇含草、死神、 猫の災難、猫の忠信、天神山、あたま山、看板のピン、馬の田楽、時うどん、蔵丁稚、寿限無、饅頭怖い、鼻ねじ、犬の目、 七度狐、始末の極意、不動坊、目薬、住吉駕籠、猿後家、いたりきたり、狸賽、動物園、天狗裁き、べかこ、ろくろ首、京の茶漬け)です。お気に入りの演目は有りましたでしょうか? これからも種類を増やしていきます。「こんなのが欲しい。」、「この演目が好き!」、その他ご意見ご感想等がありましたらメールまたは掲示板への書き込みにてご連絡下さい。

落語土鈴シリーズはまだまだ続く予定です。また、新作ができましたらご案内します。

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