「落語の土鈴」も 1番目~3番目4番目~6番目7番目~11番目12番目~15番目と紹介してきました。今月はその続きで16番目~20番目の5種類を紹介します。
今月も宜しくお付き合いをお願い致します。

このページの先頭「馬の田楽」は今年の干支・午に合わせて作成したものです。また、5番目の「饅頭怖い」は3月に岡山で開催された「扉展」の出展作品の一つです。

落語土鈴 馬の田楽

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海老天たまこ作

 上方落語の「馬の田楽」を題材にした土鈴です。

 馬の背中に味噌樽を二つ括りつけて届けに来た馬方が表に馬を置いて家人を呼ぶが誰も出ない。小一時間経って戻ってみると馬がいないので近くで遊んでいた子供を問い詰めると、腹の下をくぐったり、尻尾の毛を抜いり、馬は驚いて何処かに走って行ったという。  馬方は馬を探し求めて「おばあさん、走り馬を見なかったかね?」・・・、「そこのだんな、馬を知らねえか?」、・・・「背中に味噌付けた馬を知らねえかぁ」・・・  聞かれた男は、「味噌つけた馬だってぇ、おらぁ、この歳になるまで、馬の田楽は食ったこたあねえ」

 落語土鈴シリーズの第16弾。2014年の干支・午年にちなんで馬の登場する落語にしました。底の鈴口のところはおでんになっています。

落語土鈴 時うどん

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海老天たまこ作

  知恵の働く兄貴分と少し足りない弟分が、夜道で屋台のうどん屋を見つけ、うどんを食べようとする。代金は16文だが、二人の持ち金を合わせても1文足りない。それでもかまわず兄貴分はうどんを注文し、自分だけうどんを食べ始める、弟分が遠慮がちにうどんをくれと袖を引いても、「待て待て」と言うだけ。ようやく、「そんなにこのうどん食いたいか」と渡してくれたどんぶりにはわずかなうどんが残っているだけ。勘定を払う時になると、「銭が細かいから数えながら渡す」と言って、「一、二、……七、八、今何時や」。うどん屋が「九つです」と言うと「十、十一、……十六。」歩きながら、1文足りなかったはずなのに、と不思議がる弟分だが、兄貴分からからくりを教えてもらうと大喜びで、「わいも明日やってみよう」。 翌日、早くやってみたくて明るいうちから町に出た弟分は、昨夜とは別の屋台を見つけた。何もかも昨夜と同じにやりたくてたまらない。うどんを食べながら、「待て待て」とか「そんなにこのうどん食いたいか」と1人で言うので、「あんた、何か悪い霊でも付いてまんのか」と店主に気味悪がられたり、最後には、「何や、これだけしか残っとらん」とつぶやいて「あんたが食べなはったんや」とあきれられる。それでも、勘定を払う段になると大喜びで、一、二……七、八、今何時や、と聞いて、「四つです」。五、六、七、八、……。

うどんが売れてご機嫌で客の相手をしている1日目のうどん屋と不審な客の行動に気味悪がっている2日目のうどん屋の対比の面白さを土鈴に表現しました。

落語土鈴 蔵丁稚

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海老天たまこ作

「仮名手本忠臣蔵」のうち、四段目の、判官切腹の場を題材にした噺です。
丁稚の定吉は、芝居狂。今日も使いに出たきり戻らないので、だんなはカンカン。
ついに旦那に蔵の中へ引きずっていかれ、ご飯も食べぬまま閉じ込められてしまった。 こうなれば芝居をして空腹を忘れようと、蔵の箪笥(たんす)を探すと、うまい具合に裃と三宝代わりの御膳。そして、旦那のご先祖が差してたという九寸五分まで探し出し、大声で芝居の真似を始めてしまった。 「力弥、力弥、由良助は」 「いまだ参上、つかまつりませぬ」
「存上で対面せで、無念なと伝えよ。いざご両所、お見届けくだされ」と短刀を腹へ。
そこへちょうど女中が様子を見にきて、定吉が切腹すると勘違い。慌てて旦那に報告すると、旦那も「子供のことだから、腹がすいて変な料簡を起こしたんだろう!?」と仰天。
いくらなんでも、奉公人の命を奪うわけにはいかない。定吉に飯を届けようと調理場に飛び込み、じれったいからとおひつ(飯櫃)をそのまま抱えて蔵へ。戸をガラガラガラガラ!!
「御膳(御前)ッ」(とおひつを差し出す)
「蔵の内(内蔵助=由良助)でかァ」
「ハハァ~!」
「待ちかねたァ……」

落語土鈴 寿限無

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海老天たまこ作

  ご存じ、「寿限無」です。 子供の幸せを願ってつけた長~い名前、「寿限無 寿限無 五劫の摺り切れ 海砂利水魚の 水行末 雲来末 風来末 食う寝る所に住む所 藪柑子 ブラコウジ パイポ パイポ パイポの シューリンガン シューリンガンのグーリンダイ グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの 長久命の長助」、この名前が様々なトラブルを生みます。 「殴られてこぶを作った近所の子供が父親のところに言いつけに来る。やり取りの中で長い名前が繰り返されるうちに、こぶが引っ込んでしまった」、「学校に行くのに、朝友達が誘いに来て名前を呼ぶのが一苦労。母親が名前を呼んで子供をおこすのも一苦労。起こしている間に友達は学校が間に合わなくなるので先に行ってしまう。」とか。

今日は学校でテストの日。答案用紙が配られたので名前を書きましょう。寿限無 寿限無 五劫の摺り切れ・・・。名前を書いているうちにテスト時間が終わってしまいました。

落語土鈴 饅頭怖い

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海老天たまこ作

町内の若い衆が集まって、各自の怖いもの、嫌いなものを言いあっていく。「蜘蛛」「蛇」「蟻」などと言っている中にひとりの男、「いい若い者がそのようなものを怖がるとは情けない、自分は世の中に怖いものはない」と言う。本当に怖いものは無いのか、何度も念を押しているうちにしぶしぶ「実は饅頭が怖い」と白状する。 その男、「饅頭の話をしているだけで気分が悪くなった」と言い出し、自宅に帰って寝てしまう。 そこで皆は「あいつは気に食わない男だから一度ひどい目に会わせてやろう。話だけでもあんな様子だから、饅頭攻めにして怖がらせてやろう」と金を出し合い、饅頭を山のように買いこんで男の家に投げ込む。すると目覚めた男は「あぁ怖い、怖い。」などと言いながらも饅頭をむしゃむしゃ食べてしまった。 町内の者はどうも様子がおかしいと覗き見て一杯食わされたことに気付く。怒った皆が「本当のお前の怖いものは何だ!」と聞くと今度は「渋いお茶が一杯怖い!」。

この土鈴、鈴玉が三つ入っています。落語のネタを表現しながら、いろんな饅頭をムシャムシャ食べている様子を音色で感じ取れれば幸いです。


本日はここまで、お後がよろしいようで。

落語土鈴は現在20種類(鷺取り、池田の猪買い、蛸芝居、鬼の面、高津の富、猫の災難、首提灯、牛ほめ、蛇含草、死神、猫の災難、猫の忠信、天神山、あたま山、看板のピン、馬の田楽、時うどん、蔵丁稚、寿限無、饅頭怖い)です。お気に入りの演目は有りましたでしょうか? これからも種類を増やしていきます。「こんなのが欲しい。」、「この演目が好き!」、その他ご意見ご感想等がありましたらメールまたは掲示板への書き込みにてご連絡下さい。
落語土鈴シリーズはまだまだ続く予定です。 また、新作ができましたらご案内します。


噺のついで

「饅頭怖い」の土鈴の形は薯蕷(じょうよ)饅頭の形をしています。 噺の中で薯蕷饅頭を手にして食べようとする男が「高砂屋の薯蕷やで。竹の皮の座布団に座ってはる。 嘘かほんまか知らんけど、ツゲの小枝で炊いたぁるちゅう話や、土用のさなかに二十日置いても餡の味が変わらん 。久しぶりやなぁ、ごきげんさん、元気にしてはりましたか...。」と独り言を言うシーンがある。

そこで、この土鈴にも竹の皮の座布団を貼り付けなければとやってみたのですがこれが大変。

竹の皮は握り飯を包めるように水分をはじくのです。焼き物の土鈴と貼り付けようとしても 糊でもボンドでもうまくくっつきません。

そこで、どうしたか。上の写真では良くわからないと思いますが、是非実物を手にして確認してみてください。

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