落語の土鈴 続々
1月、2月と「落語の土鈴」を紹介しましたが、今月はその続々編です。
今月も宜しくお付き合いをお願い致します。
前回同様に、今月紹介します土鈴達も大阪・池田市の「落語みゅーじあむ」にて展示販売していただいています。 お近くのかたは是非実物を手にとってみてください。
落語土鈴 蛸芝居
海老天たまこ作
主人はもちろん番頭、丁稚、女中、乳母さんにいたるまで、家内中が揃ってみんなが芝居好き。出入りの魚屋まで加わって、芝居の真似事で大騒ぎです
。
今日は酢ダコを食べようと、魚屋から買ったたこをにすり鉢を伏せて、丁稚の定吉に酢ダコに使う酢を買ってくるように命じ、主人が台所でタバコをふかしていると、、、。
一部始終を聞いていたタコが、「酢ダコで食べられてはたまらん!」と足を二本、すり鉢の下へグッと掛け、ボチボチ持ち上げ始めた、、、。
「台所の方が何だかうるさいなぁ」、と主人がそちらに目をやると、流石にこの店に買われたタコだけあって、何とタコが歌舞伎の泥棒の真似をして、台所から逃げようとしている所。
すり鉢を持ち上げて、見得を切っているタコの姿、目を大きく見開いた表情が可愛いですね。
落語土鈴 首提灯 海老天たまこ作
切られた首がズレています
立ち呑み屋で細かい持ち合わせがなく、近くの古道具屋で仕込み杖を買って金をくずした男。何とか切れ味を試してみたく思った男はその夜、表の扉をわざと開けておいた。
案の定入って来た泥棒を仕込み杖でためし斬り。びっくりして逃げる泥棒の首が、なんだか横にずれる。戻しても戻しても、歩いているうちに首が横を向く。「あッ、首を斬られた!」
そこに火事が起こって通りを人が駆けてくる。提灯を前に差し出しながら「火事や、火事や!!」
あまりの人混みに、背中をドンと突かれた泥棒は、、、。
切られた首を手にし、前に差し出しながら「火事や、火事や!!」
落語土鈴 高津の富 海老天たまこ作
下から見ると布団の中は
とあるはやらない宿屋にやってきた男。
泊まるなり「千両箱の使い道に困って漬物石に使っている」などと大いに吹きまくる・・・が実は文無し。
一方、宿の主人も人の良いもので、男の話をすっかり信用して、宿屋の副業として取り扱っている富くじの売れ残った最後の一枚を買ってくれるよう頼み込み、おまけに一番富が当たったら賞金千両の半分を貰う約束までした。
ところが、その富くじが一番富に当たったので大変、あまりの事態にその『似非金持ち』、宿へ帰ると、寒気がすると言って二階で蒲団をかぶって震えだす。
宿屋の親父も、一番富を知ってビックリ!!飛ぶように家に帰り大騒ぎ。「旦那様、早速お祝いを・・・」
宿屋の親父は二階の座敷に下駄のまま駆け上がってきて客を起こそうと、パッと蒲団をめくると、客は雪駄をはいたまま寝ていました。
落語土鈴 鬼の面 表はお多福の面です。 ⇒⇒⇒ 一方裏面は鬼の面です。 上下逆にすると表情が変わります。 海老天たまこ作 |
落語ファンでもあまり聞いたことのない噺と思いますが、主人公のおせつチャン、里の池田から出て、大阪で子守奉公をしています。
そのおせつチャン、お母さんにそっくりということで、お多福の面をお母さんと思って大切にしていました。それに気付いた旦那さんがちょっとした悪戯心からお多福の面を鬼の面に取り替えたところから大騒動が・・・。
鬼の面を見た後のおせつチャンの気持ちの動き、池田の家に戻ってきたおせつチャンを迎えた両親の対応、自分の悪戯が原因だと判った旦那さんの気持ち、・・・なかなか良く出来た話です。
土鈴ではお多福の面と鬼の面を表裏に配置してみましたが、
この鬼の面、怒っているんだか、笑っているんだか、困っているんだか、・・・?
旦那さんの複雑な気持ちが見て取れるような。。。
文無しの熊五郎、一杯やりたいと思っても、先立つものがない。そこで隣のかみさんから大きな鯛の頭と尻尾をもらった、猫の病気見舞いにもらって、身を食べさせた残りだという。
鯛の胴の所に布巾を掛けて置いておいて、とりあえず酒の肴は手に入ったと。
そこに訪れてきたのが兄貴分。鯛を見て身があると勘違いし、こんないいのがあるのなら俺が酒を買ってくるからと大喜びで出かけていった。
さあ困ったのは熊さん、今さら猫のお余りとは言いにくい。酒を買って帰ってきた兄貴に切り身を猫に取られたと言い訳、それではしょうがないと鯛を買いに行った兄貴の留守中にお酒もいただいて、、、。
お酒も隣の猫が一升瓶を倒して全部こぼしたことにして・・・と病気で寝ている猫に全ての罪を擦り付けたんだけれど、結局はバレちゃった。
本日はここまで、お後がよろしいようで。
落語土鈴シリーズはまだまだ続く予定です。また、新作ができましたらご案内します。