落語の土鈴 続
先月は今年最初のテーマとして「落語の土鈴」を紹介しましたが、今月はその続編です。
今月も宜しくお付き合いをお願い致します。
ところで、ここで紹介しました土鈴達、大阪・池田市の「落語みゅーじあむ」にて販売いただくことになりました。お近くのかたは是非実物をご覧下さい。
落語土鈴 鷺取り
海老天たまこ作
上方落語の鷺取りを題材にした土鈴です。
鷺を捕まえて鳥屋に売りさばこうという男、思惑以上の鷺が取れたために五重塔のてっぺんまで運ばれてしまうというお話ですが、鷺の前に先ずは雀を捕まえようとします。
男は伊丹の名物「こぼれ梅(味醂の絞り粕)」と「南京豆」を袋にいっぱい買ってきます。こぼれ梅を庭に撒いておくと雀が次々と寄ってきて食べます。それが味醂の絞り粕ですから、酔っ払ってどうしても眠くなる。そこで南京豆をまくと、
雀たちは良い枕があったということで南京豆を枕に熟睡してしまう。そこを箒と塵取りでかき集めれば…。
気持ちよく寝ている雀さんが土鈴になりました。寝相の悪い子もいますねぇ。
落語では眠くなった雀たちは「南京豆」をバラまいた音に驚いて逃げてしまいました。
落語土鈴 池田の猪買い
海老天たまこ作
続きまして上方落語の池田の猪買いを題材にした土鈴です。
体が冷えるので、体の内から温めようとシシの身を買いに行くことにします。
「ここらで売ってるのは捕ってから日が経ってるよっていかんなぁ。」北へ足を延ばして猪のたくさん捕れる池田へ行くことにします。
尋ね尋ねてようやくたどり着いた山猟師の六太夫さんのところ、捕れたてが良いと言って早速雪の中を猟に出ます。
「オンが良いかメンが良いか、大阪に帰るまで我慢できないんで六太夫さんのところで食べさしてくれる・・・?」あんまりうるさく言うので六太夫さんも思わず引き金を引いて「ダダ~~ン!」
ゴロッと猪がひっくり返ったのをみた男、「これ、新しぃやろか?」
目の前で撃ったのにムカッときた六太夫さん、鉄砲を逆手に持って猪をどつくと気を失っていただけの猪が起き上がってスタスタ・・・
「そらあんなに新しい!」
この土鈴では目を回して気絶した猪の場面とその猪を六太夫さんが鉄砲でどつく場面を一つの鈴の上で表現しています。
落語土鈴 蛇含草
海老天たまこ作
本日のトリとなりますのが上方落語の蛇含草を題材にした土鈴です。
蛇含草と云うのは、深山に棲むウワバミが餌として人間を呑み込んだ時、腹が張って苦しくなると消化薬として食べる草のことです。
ある夏の日、熊さんが大家の所へ行き、餅箱一杯に入った餅を見て「オレなら全部食べられる」と言い出す。「食べられるものなら食べてみろ」と大家が火鉢で焼く餅を次々に食べ始める。
餅を食い過ぎた熊さん、家に帰ったが腹が苦しくて苦しくて、その時、人から貰った蛇含草を思い出し、これぞ腹ごなしの特効薬と、急いでその草を頬張る。しばらくして静かになると、部屋の中で
餅が着物を着て座っていました。
蛇含草は単なる消化薬ではなく人間を溶かす薬草だったのです。
本日はここまで、お後がよろしいようで。
落語土鈴シリーズはまだまだ続く予定です。また、新作ができましたらご案内します。