落語の土鈴
2013年のお正月、あけましておめでとうございます。
本年も宜しくお願いします。
今年、最初のテーマに選んだのは落語の土鈴です。
「え~、毎度バカバカしいお笑いを一席、
今年は楽しく笑って過ごしましょう。」
ご案内は白猫のたまチャンです。
しばらくの間お付き合いをお願い致します。
上方落語の看板のピンを題材にした土鈴です。
景気付けに一つ胴を取ってもらいたいと頼まれた親分、てめえたちがそういうならと、壺皿の前に座る。一つの賽を無造作に笊に投げ入れると、上手の手から水が漏れたか、賽が壺皿の外にポロリとこぼれ、ピン(一の目)が出たまま「さあ、張んな」
……このじじい、相当に耄碌してタガがゆるんだんだろう、こいつはタダでいただきとばかり、みんな一に張る。「親分、本当にいいんですかい」
「何を言いやがる。そう目がそろったら、看板のこのピンは、こうして片づけて……オレがみるところ、中は五だな」
「あれっ、これ看板だとよ」壺の中は、親分の言うとおり五が出ていたので、一同唖然。
鈴口は「本当の賽の目はなんだろう?」と”?”の形にしました。手にする機会がありましたら底にも注目ください。
落語土鈴 頭山
海老天たまこ作
続きまして古典落語の「あたまやま」を題材にした土鈴です。
ケチな男がサクランボを種ごと食べてしまったため、種が男の頭から芽を出して大きな桜の木になる。
近所の人たちは大喜びで、その頭を「頭山」と名づけて頭の上で花見の大騒ぎ、男は頭の上がうるさくて苛立ちのあまり桜の木を引き抜いてしまい、頭に大穴が開いた。
ところがこの穴に雨水がたまって大きな池になり、近所の人たちが船で魚釣りを始めだす始末、怒った男は自分の頭の池に身を投げて死んでしまいました。
賑やかなお花見と男が池に飛び込む水しぶきを両面にして土鈴にしています。
この土鈴も手にする機会がありましたら底にも注目ください。鈴口は”入”の形にし、底に「大入」と表現しました
本日のトリとなりますのが上方落語の牛ほめ(池田の牛ほめ)を題材にした土鈴です。
良い牛というのは「天角地眼一黒鹿頭耳小歯違」というらい。すなわち天角と言って角が真っ直ぐ天を向いて、地眼とは眼が地面を睨んでいる。一黒、黒一色で、鹿頭、首が鹿のように滑らか。耳が小さく、歯が互い違いグイチになってる。
このように教えられて叔父さんのところの牛を褒めていたのに牛は尻を向けて粗相をする。
叔父さんが恐縮していると、「心配しなはんな。ここにも秋葉はんのお札貼っときなはれ。穴が隠れてヘの用心になります。」
本日はここまで、お後がよろしいようで。
噺のついで
「噺」という字は、「珍しい話」、「目新しい物語」という意味から、口に新しいという字を合わせて作った和製漢字だそうです。 そして落語を現わす言葉でもあり、落語家さんを「噺家」と呼ぶ時にも使われる言葉です。
そこで、ここに紹介したような噺にまつわる土鈴を色々考えてみました。
落語土鈴シリーズはこのあと49作(+番外)まで続きます。こちらでご覧下さい。
1番目~3番目、 4番目~6番目、 7番目~11番目、 12番目~15番目、 16番目~20番目、 21番目~26番目、 27番目~28番目と番外の2つ、 29番目~32番目、 33番目~35番目、 36番目~38番目 39番目~41番目と番外の2つ、 42番目~45番目と番外の干支土鈴2つ、 46番目~49番目。
全体をまとめた「土鈴で楽しむ上方落語」もこちらからPDFでダウンロードできます。