落語の土鈴
11回目
「落語の土鈴」も 1番目~3番目、4番目~6番目、7番目~11番目、 12番目~15番目、 16番目~20番目、 21番目~26番目、 27番目~28番目と番外の2つ、 29番目~32番目、 33番目~35番目、 36番目~38番目と紹介してきました。今月はその続きで39番目~41番目の3種類と番外2つを紹介します。
今月も宜しくお付き合いをお願い致します。
海老天たまこ作
上方落語の「癪の合薬」を土鈴にしました。
外出中、突然奥様が癪を起こして倒れてしまった。 普段、奥様は癪の合い薬のヤカンを舐めればすぐに治るのであったが持参していなかった。ビックリした女中は近くにヤカンは無いかと探し回ったたが、丁度その時やかんが歩いてきた。 頭髪が無くピカピカ光った、どう見てもヤカンの様な頭を持ったお武家様だった。
それを見た女中は仲間の止めるのも聞かず奥様の為とその武士の所に駆け寄り、「お願いでございます。主家の奥様が癪で倒れ、生憎く合い薬を持ち合わせていないので、 お助け下さい」と、願った。武士は快く持ち合わせの薬を差し出したが、薬ではなく、ヤカンにそっくりなその頭を舐めさせて欲しいと懇願した。 当然武士はカンカンで無礼討ちだと怒り、その連れは笑い転げ、女中は泣いて、収拾がつかない。
「私は死を覚悟していますから、どうぞお願いします」、「そこまで言われれば、忠義なその方に免じて舐めさせよう」。と言うことで、頭を差し出し舐めさせた。 ベロベロ、ペロペロ舐めると、気が戻ってきた。
癪が治ったお礼にお名前とお屋敷を教えて欲しいという奥様に、恥の上塗りだから教えられないし、万一街中で会っても声を掛けるでないとキツく申し渡した。 その後、右左に分かれてみると、武士の頭がヒリヒリと痛んだ。連れの者に見させると頭に歯形がくっきりと残っていた。連れの言うことには・・・
「キズは残っていますが、漏(も)るようなキズではありません」。
2018年1月作品
海老天たまこ作
上方落語の「代書」を題材にした土鈴です。
代書屋に無筆男が履歴書の代筆を頼みに来た。就職のために必要だと教えられ、 家中探したが無いので、向かいの家に借りに行ったら、そこにも無いので、やって来た。
本籍は・・・、現住所は・・・、名前は・・・、生年月日は・・・、学歴は・・・ 頓珍漢な受け答えで苦労しながら代書屋は履歴書を書き進んでいく。 「職歴だが、判らんやろうな。どんな商売をしてきた」、「言われると辛いな~。提灯行列の明けの年」、 「だったら明治37年、何をやった・・・」、「友達が『巴焼きの道具空いてるさかい、使えへんか』言うて貸してくれたんだ。 借りに行たら、錆びていたので、それをペーパーで・・・」、「場所は?」、「玉造の駅前で、家賃が12円50銭」、 「家賃はいらない、『同市内玉造駅前において』・・・、巴焼では判らないだろうから、『饅頭商を営む』として、 いつまでやった?」、「いや、やろう思ったけど、家賃高いから、やめた」、 「やったことだけ言いなさい。消すと紙が汚くなる。一行抹消。判子貸しなさい。 訂正印だ。本当にやったのは?」、「同じ年の12月に、夜店出を」、「『明治37年露店営業人として』・・・、品物は何?」、 「ヘリドメ」、「服のえり止め?」、「いや、減り止め。下駄の歯ァの裏に打つゴム」、「そんな物書いたことが無い。 『履物付属品を販売す』と、書いとこ。いつまで?」、「これはホンマに道に品物並べましたんや。 ところが12月で、冷たい北風がピューピュー吹いてくる。誰も買わない。アホらしなって、2時間でやめた」、 「・・・一行抹消。・・・
「判子はここに」。
2018年1月作品
海老天たまこ作
上方落語の「崇徳院」を題材にした土鈴です。
熊さんが出入りの店の大旦那から呼ばれ行くと、若旦那が具合が悪く寝込んでいる。訳を聞き出すと恋患いと言う。 相手は高津さまにお参りに行った時、茶店で出会った水もたれるような綺麗な娘さん。 別れ際に、「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の」と書いた紙を渡してくれた。 下の句が「割れても末に逢はんとぞ思ふ」の崇徳院の歌で、いずれ再会し夫婦になりたいという意だと言う。
熊さんは大旦那からその娘さんを探し出すように頼まれる。探し出しせば借金を棒引き、今住んでいる三軒長屋をくれると約束だ。 早速探しに出るが、見つからない。
女房から崇徳院の歌を大声を出して歩き、人のよく集まるフロ屋とか床屋へ行くように言われてまた探し始める。
熊さん 「瀬をはやみ・・・」、「瀬をはやみ・・・」、ついにフロ屋を36軒、床屋を18軒回り、 ふらふらになって夕方に朝と同じ床屋に入ってくる。
そこへお嬢さんが恋患いをし、崇徳院の歌を手がかりに相手を四国に探しに旅立つという男に出会う。 お互いの店に来いと、もみ合っているうちに、床屋の鏡を割ってしまう。
床屋 「そ~ら、やっちゃった。鏡を割ってしまって、どうしてくれるんや」
「なに心配いらない、割れても末に買わんとぞ思う」
2018年1月作品
海老天たまこ作
落語喫茶 古々粋亭(ココイキテイ)のオリジナル土鈴です。
大笑いして開いた口の中は古々粋亭の高座になっています。
定式幕(じょうしきまく)の前で一席演じているのは古々粋亭のシンボルキャラクターの「古々粋亭 純鹿(じゅんろく)ちゃん」です。
他に寄席の土鈴としては上のタイトル欄右側にある「春鹿寄席」や繁昌亭もあります。
2018年3月作品
海老天たまこ作
似顔絵土鈴です。
モデルは笑福亭鶴瓶師匠の三番弟子、純瓶師匠です。
上記の古々粋でもレギュラーとして活躍されています。
2018年5月作品
本日はここまで、お後がよろしいようで。
落語土鈴は現在41種類(鷺取り、池田の猪買い、蛸芝居、鬼の面、高津の富、猫の災難、首提灯、牛ほめ、蛇含草、死神、
猫の災難、猫の忠信、天神山、あたま山、看板のピン、馬の田楽、時うどん、蔵丁稚、寿限無、饅頭怖い、鼻ねじ、犬の目、
七度狐、始末の極意、不動坊、目薬、住吉駕籠、猿後家、いたりきたり、狸賽、動物園、天狗裁き、べかこ、ろくろ首、京の茶漬け、
くっしゃみ講釈、皿屋敷、つる、癪の合薬、代書、崇徳院)です。お気に入りの演目は有りましたでしょうか?
これからも種類を増やしていきます。「こんなのが欲しい。」、「この演目が好き!」、その他ご意見ご感想等がありましたらメールまたは掲示板への書き込みにてご連絡下さい。
落語土鈴シリーズはまだまだ続く予定です。また、新作ができましたらご案内します。