落語の土鈴
7回目
「落語の土鈴」も 1番目~3番目、4番目~6番目、7番目~11番目、 12番目~15番目、 16番目~20番目、 21番目~26番目と紹介してきました。今月はその続きで27番目~28番目の2種類と番外の2つを紹介します。
今月も宜しくお付き合いをお願い致します。
海老天たまこ作
街道筋の駕篭かきは雲助、雲駕籠といわれて随分怖がられましたが、住吉街道の駕篭屋は町駕篭同様に安心して乗れたといいます。
ある日、住吉街道の駕篭屋が客引きに苦労していた。ゴミ捨て帰りの茶店の親爺に駕籠を勧めて叱られたり、乗る気のない夫婦ものにからかわれたり、武士の問い合わせに早合点したり、酔っ払いに絡まれたり、・・・
そこに登場したのが気前の良い堂島の米相場師の旦那、喜んで乗せていこうとすると異常に重い、駕籠の中で話声もする、駕籠を下して中を見ると重いのも当然、旦那が二人乗っている。しかし、ゲンを担ぐ旦那衆は降りてくれず、このまま行けという。 バレたら仕方ない、開き直って駕籠の中で相撲の話をすると熱中しすぎて、籠の底が抜けてしまった。それでもゲンを担いで駕籠から降りずに中で歩く旦那たち、駕籠かきと合わせて4人で足が8本・・・・・。
これがホントの蜘蛛駕籠だ。
海老天たまこ作
顔が猿にそっくりな商家の後家さん。当人はひどく気にしていて、店では「サル」とつく言葉は禁句になっている。
この店に出入りしている太兵衛という男、後家さんに取り入り、機嫌を取るのがうまいので気に入られ、「大津絵の藤娘にそっくりです」などとべんちゃらを並べては酒、肴のご馳走を振舞われている。
ある日、伊勢参りから帰った太兵衛が店に来る。みやげ話をしている時、奈良の町の様子を話しているうちにうっかり「猿沢の池」と口をすべらせ失敗。 そこで番頭さんから入れ知恵をもらって美女尽くしでリベンジ。
太兵衛 「おいえはんを昔の美女にたとますと、日本では小野小町、照手姫か衣通姫(そとおりひめ)。唐土(もろこし)では、玄宗皇帝の思い者で・・・」
後家さん 「玄宗皇帝の思い者で、一体、誰に似ているというのや。」
太兵衛 「ようひひ(楊貴妃)に似てござります。」 と口を滑らしてしくじった太兵衛 、まるで「木から落ちたサル」、いえ、「木から落ちた猫同様でございます。」
手には小野小町の和歌の扇子、背面には木から落ちた猫が。
来年、2016年(平成28年)の干支は丙申(ひのえ さる)です。 そこでお猿さんにちなんだこの演目「猿後家」を土鈴にしました。
海老天たまこ作
落語土鈴の番外編です。
天満天神繁昌亭(てんまてんじんはんじょうてい)は、大阪府大阪市北区天神橋二丁目にある寄席。 上方落語唯一の定席の寄席で、落語を中心として、漫才、俗曲などの色物芸が毎日多数演じられています。
その建物の雰囲気を土鈴にしました。正面看板の上には建設にあたって募金をした人々の名前の書かれた提灯を並べています。 また、入り口を鈴穴にして多くのお客さんが出入りする様子をイメージしました。 大阪天満宮には昔、菅原道真公と縁のある7本の松があったそうです。そこで、建物の側面には松の木を7本描きました。
また、建物の背面には鶴を描いています。この松と鶴で「繁昌亭」の名前の発案者、6代目笑福亭松鶴を表現しています。
海老天たまこ作
これも落語土鈴の番外編です。
小梅亭てんてんは天満天神繁昌亭で活躍するマスコットキャラクターです。
落語、漫才などの上方文化をPRすることが主なお仕事です。
この可愛いキャラクタを土鈴にしました。掌の上で、コロコロ、カラカラ、振ってみると繁昌亭での楽しい噺を思い出されます。
ところが、てんてんチャン、実物にはあまりお目にかかりません。下の写真は2007年の彦八祭にて。
本日はここまで、お後がよろしいようで。
落語土鈴は現在28種類(鷺取り、池田の猪買い、蛸芝居、鬼の面、高津の富、猫の災難、首提灯、牛ほめ、蛇含草、死神、
猫の災難、猫の忠信、天神山、あたま山、看板のピン、馬の田楽、時うどん、蔵丁稚、寿限無、饅頭怖い、鼻ねじ、犬の目、
七度狐、始末の極意、不動坊、目薬、住吉駕籠、猿後家)です。お気に入りの演目は有りましたでしょうか?
これからも種類を増やしていきます。「こんなのが欲しい。」、「この演目が好き!」、その他ご意見ご感想等がありましたらメールまたは掲示板への書き込みにてご連絡下さい。
落語土鈴シリーズはまだまだ続く予定です。また、新作ができましたらご案内します。
今年も「大和の土鈴」ホームページへのご訪問、ありがとうございました。来年も宜しくお願いいたします。