復活 山本芳考さんの土鈴 (9)
先月に続いて山本芳香さんの土鈴(山本芳考さんの型から復元された土鈴)の紹介の9回目です。
これまでの8回は1回目、2回目、 3回目、4回目、 5回目、6回目、 7回目、8回目をご覧ください。
垂木瓦(たるきがわら)または垂木先瓦(たるきさきがわら)とは垂木の先端に装飾物として釘で打ちつける瓦で円形・方形のものが多く、平安末期以後は金具にかわります。
また、垂木は「木偏に垂」の1文字で書かれる場合もありますがフォントがない場合が多いので「垂木」とかひらがなで「たるき」と表現されます。
以前にご紹介した飛鳥寺の八弁瓦も複弁蓮華文の垂木先瓦をモデルとした土鈴です。
ところで、この垂木瓦のモデルはというと今のところ不明です。引き続き探してみます。
談山神社(たんざんじんじゃ)十三重塔は現存する唯一の木造十三重塔婆で、談山神社のシンボル的な建物です。
中臣鎌足の長男定慧が菩提寺として妙楽寺を開基し、この十三重塔を建立したと伝えられています。
先日ご紹介した雷神はこの十三重の塔の守り神とされているそうです。
如意輪寺(にょいりんじ)は南北朝時代後醍醐天皇の勅願寺と定められ、裏山には後醍醐天皇の御陵(塔尾陵)があります。
兜前面に描かれた菊水は如意輪寺の寺紋で、後醍醐天皇の忠臣であった楠公の家紋です。
芳考さんの作品では菊の部分の彩色はありませんでしたが、芳香さんにより彩色されています。
当麻寺は当麻寺でと縁が深く、中将姫が一夜にして極楽浄土の風景を織り上げた当麻曼荼羅は蓮の茎からとった糸で織られたと言われています。
また、有名な練供養会式では二十五菩薩の行列において観音菩薩の持つ蓮台の上には中将姫像が載せられています。
観音菩薩は姫の乗った蓮台を右に左にすくい上げるように体をひねって進み(→これを「スクイボトケ」という)、極楽浄土に姫を案内します。
この土鈴はその蓮台の形を現わしていると思われます。
芳考さんの復元土鈴の紹介は次月で一区切りとなります。