今月のテーマは仲秋の名月、奈良のお月見行事の一つ「采女祭り」です。 まず、「采女」とは 天皇に仕え、食事などの世話をした13歳から30歳までの女官。昔、文武(もんむ)天皇の時、一人の采女が帝の愛が薄れたことを嘆いて名月の夜に猿沢の池に身を投げました。 (浅いのにネ。本当は死ぬ気なんて無かったのかナ。兎に角、 伝説ですから。池の東には采女が身を投じる前に衣を 掛けたという衣掛(きぬかけ)柳もあります。)そこで、帝は池の端に社を建て、池に向けて祠を祭りました。 ところが采女の霊は身を投げた池を見るのがつらいと一晩のうちに池に背を向けたそうです。今も、采女神社の鳥居は池に向いて建てられているのに祠は鳥居に背を向けています。 この采女の霊を鎮める為に仲秋の名月の日に采女祭りが行われるようになったというお話です。 祭りは17時のお渡り式から始まりますがメインは19時から行われる管弦船花扇奉納神事(竜船巡り)です。 猿沢池に二艘の船が浮かべられ一艘には采女をはじめ、巫女たちが、もう一艘には秋の花で飾られた大きな花扇と雅楽の演奏者たちが乗ります。 それらの船は雅楽の調べの中、満月と松明の明かりに照らされて猿沢池の中を周ります。月の光に古代・中世へと誘われる優雅なお祭です。
采女祭りの風景