軒丸瓦の土鈴
軒丸瓦とは本瓦葺きの屋根の軒先に用いる丸瓦のことです。古くは蓮華紋(れんげもん)が用いられ、のち巴(ともえ)紋が多く用いられるようになったので巴瓦ともいわれます。また、形状から鐙瓦(あぶみがわら)と呼ばれることもあります。
一般に屋根瓦は右図のような構成になっています。
土鈴になっているものは円盤状の瓦当(がとう)の部分がほとんどですが、これは出土する古代瓦のほとんどで丸瓦部が失われていることによるかもしれません。
この桝井宗洋氏の藤原京軒丸瓦土鈴は元の形を忠実に再現しようとしたものです。
桝井宗洋さん作
大安寺は今では癌封じ祈祷のお寺として有名ですが、元は大官大寺で東大寺が出来るまでは日本最大のお寺でした。
モデルとなった瓦は白鳳時代を代表するものです。
雀が羽を広げて屋根から飛び上がろうとしている一瞬をとらえた土鈴です。
同じように大安寺白鳳軒丸瓦に乗せた申鈴、酉鈴の干支鈴も作られています。
海老天たまこ作
岡寺古瓦文鈴のように丸瓦部の痕跡が少し残っているものもあります。
発掘された瓦が丸瓦部をほとんど失っていた状態で、それをモデルにしたのかもしれません。
鈴木康之さん作
岡寺と同じ鈴木康之さんの作品ですが丸瓦部の痕跡はありません。
それどころか、表裏両面とも瓦当のデザインです。実物はこのようなものではないですが、土鈴としては良いデザインかと思います。
鈴木康之さん作
先代小川二楽氏作の南都七大寺「古瓦鈴」の内の一つです。
南都七大寺は唐招提寺の他、東大寺・興福寺・元興寺・大安寺・西大寺・薬師寺があり、それぞれの土鈴が作られています。
ヘッダーとフッターにあげた画像はその内の二つで左側が興福寺、右側が大安寺です。
小川二楽さん作