海龍王寺

海龍王寺(かいりゅうおうじ)

奈良市法華寺北町８９７

法華寺の東隣にある海龍王寺は、平城宮の隅にあるので隅寺(すみでら)とも言われます。天平３年（731年）光明皇后の御願により建立されました。養老元年（717年）第八次遣唐使として渡唐した僧玄昉(げんぼう、「ぼう」のフォントが無い場合は「日方」が一文字になった字です。)が帰路嵐に遭い、東シナ海の怒濤のなかで海竜王経を唱えて助かり、かろうじて種子島に漂着しました。貴重な五千余巻の経論を持ち帰った功績で僧正に出世し、この寺を与えられ、海龍王寺と号しました。また、ここには聖武天皇のお母さんである藤原宮子が住んでいたとも言われています。
先日、住職の石川重元さんからメールをいただきました。海龍王寺は他の観光寺院と比べ知名度も低く、訪れる方もない。また、いくら国宝・重文があっても国からの維持・管理に関する補助は一切いただけないとのことです。その状況の中で住職自ら草刈機を持ち、庭切りはさみを持って維持・管理をされています。
私がはじめて海龍王寺さんを訪れたのは、もう30年位前になると思います。その時は五重の小塔に会いたくてやってきました。その後、数度（７～８年に１回というペースでしょうか。）訪れていますが、今も、イメージとしては最初に訪問した頃とあまり変わっておらず、街中にありながら古寺のイメージがよく保たれています。白亳寺さんと同じようなイメージでしょうか。後世の人たちに残さなければと頑張っておられる住職さんの手作りの雰囲気が感じられるお寺です。