今月の土鈴 2009年10月

万葉歌・花土鈴

 9月には「読書の秋」をテーマに土鈴をご紹介しました。
そこで予告をしましたが今月の土鈴は「万葉歌」の書かれた花土鈴です。

朝顔(キキョウ)
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山吹(やまぶき)
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山吹
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山吹
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言に出(い)でて 言はばゆゆしみ 朝顔の 秀(ほ)には咲き出ぬ 恋もするかも

作者:不詳
万葉集第10巻

今日いうアサガオは、奈良時代にはまだ渡来していない。だからこの朝顔はキキョウなのです。深い藍色をたたえた品格の高いキキョウを、万葉人は愛したのでしょう。
山吹の 立ちよそひたる 山清水
汲みに行かめど 道の知らなく

作者: 高市皇子(たけちのみこ)
万葉集第2巻

天武天皇の皇女の十市皇女(とをちのひめみこ)が亡くなったのを悲しんだ歌です。山吹の黄色と山清水で、十市皇女のいる黄泉(よみ)をイメージしているようです。
山吹の繁み飛び潜くうぐひすの 声を聞くらむ君は羨しも

作者: 大伴家持
万葉集第17巻
 
山吹(やまぶき)は、日に日に咲きぬ、うるはしと、我(あ)が思(も)ふ君は、しくしく思(おも)ほゆ

作者: 大伴池主
万葉集第17巻
 




鴨頭草(つきくさ=つゆくさ)
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椿
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次嶺(つぎね)=フタリシズカ
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朝(あした)咲き夕べは消(け)ぬる鴨頭草の消ぬべき恋も吾はするかも

作者: 不詳
万葉集 
鴨頭草は露草、月草、ツユクサとも書かれます。。
巨勢山(こせやま)の つらつら椿 つらつらに 見つつ偲はな 巨勢の春野を

作者:坂門人足
万葉集第1巻

奈良県御所市古瀬で詠まれた一首です。椿も聖なる霊力の宿る聖樹で、「つらつら椿」「つらつら椿」と繰りりかえし呼びかけることで、椿の霊力を大いに受けることができるのでしょう。
もゝしきにうつろひわたる菊の花にほひぞまさる萬代の秋

 
 

 
(前歌:長歌) つぎねふ 山城道を 他夫の 馬より行くに 己夫し 歩より行けば 見るごとに 哭のみし泣かゆ そこ思ふに 心し痛し たらちねの 母が形見と わが持てる  真澄鏡に 蜻蛉領巾 負ひ並め持ちて 馬買へわが背

(反歌) 馬買はば妹歩行ならむよしえやし 石は覆むとも 吾は二人行かむ

作者: 不詳
 

  




思草(ナンバンギセル)
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馬酔木(アシビ)
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あかね
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秋の七草
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道の辺の尾花が下(もと)の思(おもひ)草 今さらになぞ物か念はむ

作者:不詳
万葉集第10巻

 
磯かげの見ゆる池水照るまでに 咲けるあしび(馬酔木)の散らまく惜しも

作者:甘南備伊香真人
万葉集第20巻

 
あかねさす紫野(むらさきの)行き標野(しめの)行き 野守は見ずや 君が袖振る

作者: 額田王
 

 
秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種(ななくさ)の花

作者:山上憶良
万葉集第8巻

同じく秋の七草を詠んだ歌に「萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 姫部志(をみなへし) また藤袴 朝貌の花」があります。





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かほ花(コヒルガオ)
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朝顔(?)
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春雨に争ひかねてわが屋前(やど)のさくらの花は咲き初めにけり

作者: 不詳
 
 
我が屋戸の秋の萩咲く夕影に今も見てしか妹が姿を

作者:大伴田村大嬢
 

 
石橋の間間(まま)に生(お)ひたるかほ花の 花にしありけりありつつ見れば

作者: 不詳
万葉集第10巻

 
言(こと)に出でて 言はばゆゆしみ朝顔の 穂には咲き出ぬ 恋もするかも

作者: 不詳
万葉集第10巻
 





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堅香子(かたかご=カタクリ)
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すみれ
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なでしこ
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春の苑紅にほふ桃の花下
照る道に出で立つをとめ

作者: 大伴家持
万葉集第19巻
暮(ゆうべ)に、春の苑の桃李の花を眺矚(なが)めて作れる歌
もののふの八十をとめらがくみまがふ
寺井の上の堅香子の花

作者:大伴家持
万葉集第19巻

 
春の野にすみれ採みにと来し吾ぞ
野をなつかしみ一夜宿にける

作者: 山部宿禰赤人
万葉集第8巻

 
なでしこが 花見るごとに 少女(おとめ)らが 笑まひのにほひ 思ほゆるかも

作者: 大伴家持
万葉集第18巻
ここで乙女(少女)とは妻の坂上大嬢を指します。花を見るたび妻を思い出すといった歌です。



 土鈴のコレクションのおかげで万葉集を調べてみようという気になりました。極めて表面的なことだけですが、これも一つの出会いでした。
万葉集とは日本最初の歌集で全20巻。7〜8世紀の間に歌われ、作られた、長短さまざまの歌4500余首をおさめられています。
また、万葉集には150〜160品種の植物が歌われているそうです。ここに挙げたものは20種にも満たないのでまだ色々あるんでしょうね。
また、桝井宗洋さんの作品の中にも万葉集・万葉花を扱った土鈴があります。@ A B


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壁紙は季節のそざいからいただきました。