3月、春です。花の季節がやってきました。

先月に続いて、花の土鈴を紹介しましょう。

蓼(たで)

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「動物は一人で住んで蓼の花」 川島 葵
植物の、生きものの息づかいを感じ、人々の心の有りように目を向けるとき、 葵さんは静かに腰をおろし、身の内の野性に耳を澄ませているのではないか。。
句集『草に花』(くさにはな)序より。

瞿麦(なでしこ)の花

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我が宿の瞿麦の花盛りなり手折りて一目見せむ子もがも 万葉集巻8-1496 大伴家持(おとものやかもち)作

意味: 私の庭の撫子(なでしこ)の花が今を盛りと咲いています。手折って一目見せてあげられる娘がいたらいいのだけれど。。。。

万葉集には撫子(なでしこ)の花が26首(27首?)に登場します。その内、大伴家持の歌が12首、大伴家持のお気に入りの花だったのでしょうか。

姫百合(ひめゆり)

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夏の野の 繁みに咲ける 姫百合の 知らえぬ恋は苦しきものそ 万葉集 8‐1500 大伴坂上郎女(おおとものさかのへのいらつめ)作

「夏の野の草の繁みに咲いている姫百合の花は、人に知られない。そのように相手に知られない心に秘めた恋は苦しいものです。」という片思いの歌です。
姫百合はユリ科ユリ属の花です。茎や葉は細く、花も小さめです。夏に橙色、赤色、黄色などの花を咲かせます。 しかし、花が小さ目と言っても夏草の繁みに咲いて目立たない花の代表選手にされるほどではないと思います。 そこは姫百合の「ヒメ」と片思いの「秘め」た恋のゴロ合わせなんですね。

上の瞿麦の歌の作者・大伴家持は大伴坂上郎女から見れば娘の旦那という関係です。

卯(う)の花

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ほととぎす鳴く声聞くや卯の花の咲き散る岡に葛引く少女 万葉集巻10-1942 作者未詳

意味:霍公鳥(ほととぎす)の鳴く声を聞きましたか、卯の花が咲いては散る丘で葛(くず)を引いている娘さん。

万葉集には卯の花を詠んだ歌が24首ありますが、その多くが、霍公鳥(ほととぎす)とセットで詠まれているそうです。 大伴家持の歌にも「卯の花も、いまだ咲かねば、霍公鳥(ほととぎす)、佐保(さほ)の山辺(やまへ)に、来鳴(きな)き響(とよ)もす」というのがあります。 意味は「卯の花もまだ咲いてもいないのに、霍公鳥(ほととぎす)は佐保(さほ)の山辺(やまべ)にやってきて鳴いています。」 ここで「佐保」は、今の奈良県奈良市の法華寺町・法蓮町一帯にあたります。

そういえば、「卯の花の、匂う垣根に 時鳥(ほととぎす)、早も来鳴きて忍音(しのびね)もらす、夏は来ぬ・・」・という歌にも「卯の花」と「ほととぎす」のペアが登場していますね。


まだまだありますので、来月に続きます。

猫雛

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ところで3月と言えば雛祭り

猫のひな人形セットです。少し雛祭りムードです。

この中にも橘、桜の花が満開です。

海老天たまこ作

手を振るニャンコ「今月の土鈴」ボタン

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