三月、もう春ですネ。奈良にも観光客が増えてくる季節です。中でもハイカーで賑わう山の辺の道、今月ご紹介するのはそのスポットとなる石上神宮です。
石上神宮は「石上布留の神杉神さびし 恋をも吾はさらにするかも」と万葉集にうたわれた森の中にある大社です。崇神天皇の7年に物部の連の祖、伊賀色雄が天皇の命令で宝剣の「フツノミタマ」をここに祀ったとのが始まりといわれ、奈良時代には伊勢神宮とここだけが「神宮」の号を用いていました。
また、この古社は歴代天皇の崇敬があつく、神庫には多くの武器が収められています。神功皇后の頃、百済から献じられたという七支刀もその一つとして有名で国宝に指定されています。
ここに紹介する兎の土鈴は卯年でなくても売られているので干支鈴ではありません。 |
裏側 |
このウサギさんは石上の神様のお使いだそうです。石上の神様は卯の年、卯の月、卯の日にこの地に着かれたということで卯と関連が深い。また、方位でいえば卯は東、太陽が昇る方向で古い神社は卯をお使いにしているところが多いということです。 以前は社務所の屋根にも黒いウサギさんが置かれていたようですが今はもう見られません。 |
古いタイプは大きい | こちらは赤膚焼です。 |
七支刀も国宝として有名ですが石上神宮といえば勾玉も有名です。
かつての石上神宮には本殿がなく、拝殿の奥に、石垣で囲まれた禁足地があり、その中央に磐座(いわくら)が設けられ、主祭神が埋斎されていました。
1874年(明治7年)に大宮司・菅政友が官許を得て禁足地を発掘し、1913年(大正2年)の本殿新築の際もおびただしい遺物が出土しました。
勾玉(硬玉勾玉・こうぎょく まがたま)はその禁足地を発掘した際に出土し、重要文化財に指定されています。
勾玉土鈴 |
勾玉土鈴 |
石上神宮以外でもこのような勾玉土鈴がありました。 賣太神社は「語り部の里」として稗田阿礼を祭っており、勾玉土鈴以外に古事記土鈴もありました。 |
勾玉土鈴 賣太神社 |
勾玉土鈴 天の岩戸神社 |
石上神宮の額 布留御魂大神 |
石上神宮の額 土鈴 |
左の土鈴には岩上大明神と書かれていますが間違いではありません。 普段は見れませんが昨年開催された奈良国立博物館の展覧会にはこのような額が出展されていました。 壷の土鈴は嚴瓮(いつべ)土鈴です。神酒等を貯蔵する容器で現物の大きさは天下一品の大壺です。 |
壷の土鈴 布留部焼窯元 中村呂香 作 |