「落語の土鈴」も 1番目~3番目4番目~6番目7番目~11番目12番目~15番目16番目~20番目と紹介してきました。今月はその続きで21番目~26番目の6種類を紹介します。

今月も宜しくお付き合いをお願い致します。

落語土鈴 鼻ねじ

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海老天たまこ作

今年も桜の花が咲きました。そんな時期、隣同士の商家と学者先生の家の間で起こったトラブルのお話です。

発端は商家の桜が伸びてきたので学者が梯子をかけてポキンと折ったのに対して、小僧を使いにやって苦情を言うと、『塀ごしに隣の庭へ出た花は、ねじょが折ろがこちら次第』と一筆したためて追い返した。 そこで仕返しを、商家では旦那と番頭が相談して芸者、幇間をたくさん呼んで、花見のドンチャン騒ぎを始めます。 学者先生、あまりの五月蠅さに講義もできず、また、あまりに楽しそうなので様子を見たくなりました。なんとか見たいと、塀の節穴から覗こうとするのを、こちらは待機の番頭、サッと穴をふさいでしまいます。  それではと、先生、梯子を持ち出して、塀越しに覗こうとするのを、番頭も梯子をかけ、右手に大きなヤットコを持って、学者先生の鼻を、ギューーッと。 

(学者)「痛ぁ~、何をする。」
(番頭)「今朝方の返歌でございます。
     『塀ごしに隣の庭へ出た鼻は、ねじょが折ろがこちら次第』 」

落語土鈴 犬の目

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海老天たまこ作

  目が悪くなって、医者に駆け込んだ男。

「早く治すには、くり抜いて丸洗いしよう。」という診断。 さっさと目玉をひっこ抜き、洗ってもとに戻そうとすると、水でふやけてはめ込めない。 困って、元の大きさに縮むまで陰干しにしておくと、犬が目玉を食ってしまった。 しかたがないので、罰として「犯犬」の目玉をくり抜き、男にはめ込むとぴったり。

今までのより遠目が利いてよかったが、 「先生、ダメです。これじゃ外に出られません」 「なぜ?」 「小便する時、自然に足が持ち上がります」

目玉を抜くと寂しい!? いや、「目抜き通り」という言葉があるように賑やかになるよ。 土鈴だけど目玉が抜けます。

土鈴の底にはオシッコが描かれています。ところでこの土鈴の鈴口はどこでしょうか???・・・・・・後ろ足を上げた犬のおちんちんが鈴口です。

落語土鈴 七度狐

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海老天たまこ作

喜六と清八のコンビ、煮売屋で「イカの木の芽和え」を失敬したあと、空になったすり鉢を道端の草むら投げ捨てるとそこで寝ていた狐の頭にガ~ン!! ここから狐の仕返しが始まります。

狐に騙されて山道に迷った喜六と清八。ようやく見つけた山寺で親切な尼さんに出会った。 「何もありませんが、『ベチョタレ雑炊』でもあがりませんか。」 「へえ。腹空いてますねん。ありがとうさんで。・・・」 食べて見るとどうも変な味である。きけば、味噌代わりの赤土に体をホコホコ温める藁が入っているという奇妙な物。おまけにダシを取るためのイモリも出し忘れて残っている。これは口に合いません。・・・・

この後、尼さんがお出かけして二人はお留守番。また一騒動が起こります。 喜六と清八の身に次々と降りかかる災難。あれもこれも全て狐の仕返しでした。

『ベチョタレ雑炊』を出してくれる親切な尼さん、実はいじわるな狐が化けていました。その一場面です。

落語土鈴 始末の極意

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海老天たまこ作

  上方落語の「始末の極意」を題材にした土鈴です。

あるケチを自認する男は、始末の指南を請うため、たびたび「吝嗇の大家」のもとを訪れている。男がある暑い日に吝嗇家を訪ねると、吝嗇家は汗ひとつかいていない。彼の頭上には、大きな石が細い糸で吊るしてあり、いつ落っこちてくるか、という恐怖感から涼しく感じていられる、と言う。

そのあと、1本の扇子を使って孫子の代まで伝える方法、鰹節を買わずにだしをとる方法、賽銭を節約する方法などの節約術の話が出た後、いよいよ始末の極意を習うことに。

裏庭に出て、松の木に登り枝にぶら下がった後に・・・・・・さてオチは?

そこでこの土鈴は松の枝にぶらさがった男、鈴紐で松の枝と松葉を表現しました。

落語土鈴 不動坊

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海老天たまこ作

上方落語の「不動坊」を題材にした土鈴です。

講釈師・不動坊火焔の女房お滝さんは最近亭主が旅回りの途中で急にあの世へ行ったので、借金を結納代わりに肩代わりしてくれる相長屋の利吉のところ嫁入りした。利吉はうれしさで気もそぞろ。

一方、面白くないのは同じ長屋のやもめ連中。今夜二人がいちゃついているところへ不動坊の幽霊を出し、脅かして明日の朝には夫婦別れをさしちまおうと、ぶっそうな相談がまとまった。

幽霊役として不動坊と同業の講釈師で隣長屋に住む軽田胴斎を雇い、サラシの褌をつなぎ合わせて、利吉の家の天窓から吊り下げると・・・

ぶら下がった幽霊役の軽田胴斎を土鈴にしました。土鈴にしては長~い紐でぶら下げてお楽しみください。

落語土鈴 目薬

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海老天たまこ作

  上方落語の「目薬」を題材にした土鈴です。

目がかすむので目薬を買ってきた男、処方箋を読もうとしたが元々字を読むのが苦手なうえに目がかすむので苦労する。

「めしりにさすこと」・・・さて、何と書いてあるのか!?一つ目の文字が銭湯の女湯のノレンに書いてある文字だと思いついた。「女しりにさすこと」⇒「女尻に注すこと」・・・女の尻に注すと自分の目に効くのか!?

こんな時に協力してくれるのは女房しかいないということで、嫌がる嫁さんを説得して・・・

女房の尻に注して男の目に効いたので結果オーライ。目薬はこのようにして注しましょう。

本日はここまで、お後がよろしいようで。
落語土鈴は現在26種類(鷺取り、池田の猪買い、蛸芝居、鬼の面、高津の富、猫の災難、首提灯、牛ほめ、蛇含草、死神、 猫の災難、猫の忠信、天神山、あたま山、看板のピン、馬の田楽、時うどん、蔵丁稚、寿限無、饅頭怖い、鼻ねじ、犬の目、 七度狐、始末の極意、不動坊、目薬)です。お気に入りの演目は有りましたでしょうか? これからも種類を増やしていきます。「こんなのが欲しい。」、「この演目が好き!」、その他ご意見ご感想等がありましたらメールまたは掲示板への書き込みにてご連絡下さい。
落語土鈴シリーズはまだまだ続く予定です。また、 新作ができましたらご案内します

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